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かつてバークが擁護した身分制的社会とそれを前提にした政治モデルは崩壊した。 [思想]

1.新しい「政治学」へ
今やヨーロッパにおいてもアメリカにおいても「 諸階層の平等 」が揺るぎない趨勢となっており、政治を含めた平等化( デモクラシー )はさながら「 神のみ業 」のようになっている
旧体制
反動
デモクラシーを阻止することを考えるのは神に対する挑戦であると断言する
「諸階層の平等」の時代に対応する「新しい政治学」の樹立を目論む

2.デモクラシーの病理と「穏やかな専制」
個人主義
平等化はあらゆる 権威 の否定につながり、 宗教 を含め、自らの判断のみを唯一の真理の源泉であるという考えにつながる
富と財産を唯一、最大の関心事とする
貴族が富に対して示した距離感
自己中心主義
習性
アナーキー
民主政の政治的表現としての人民主権は権力の集中を要請し、社会的多元性は今や根拠を失い、画一的な立法や統治こそが平等にかなうものとされるようになった
フランス革命が絶対主義とは比較にならない規模で権力集中の基盤を作った
民主政に内在する 多数者の専制
「個人主義」、自己中心主義を掲げる個人は全く無力である
他人から孤立することによって無力化し、世論に対して容易に屈伏する
魂は柔弱となり、多数者の意向に断固として抵抗するようなことはできない
自己利益と狭い人間的絆への関心に基礎を置く「個人主義」は政治に対する無関心と 隷従の道 につながる。
平等化はアナーキーへの傾向を持つよりも、新しいタイプの専制政治を準備する可能性がある
ここで犠牲になるのは 自由 に他ならない

3.自由の可能性を開花させるには
平等化に潜む自由の可能性を暴走させずに開花させる
ピューリタン
社会主義 者もアメリカでは活動の余地がない
地方自治が政治教育において果たす役割 「民主主義の学校
フランスとの対比で行政的な中央集権がなく、人々が自らの手で身の回りの行政に携わっている
アメリカの民主政に秩序と安定をもたらすために 法曹 集団が果たしている役割に大きな関心を寄せている(いわゆる機能的なアリストクラシーの問題)
陪審制 は具体的な案件との対面を通して人々に権利と秩序、義務と責任を自覚させる専ら政治制度として注目されている
習俗
宗教こそは人々を狭い自己利益の世界から超越させ、解放し、人間相互や人類との連帯やそうしたものへの義務を自覚させてくれるからである
紐帯
バークの議論を想起すれば明らかなように、宗教や習俗は身分制的秩序と結びつけて論じられてきたが、ここでトクヴィルはこれらを安定した民主政(不倶戴天と見られてきた)にとってきわめて重要で不可欠な要素へと転換させた
政治に対する積極的な参加とそれを支える習俗の存在
カトリック 教徒が民主政の熱心な担い手になっている

トクヴィル『アメリカにおけるデモクラシー』――民主政のリスクと可能性
佐々木毅『政治学の名著30』ちくま新書2007
より抜粋
下線及び斜め文字、半角スペース挿入と、便宜上各セクション冒頭に通し番号及び.(ドット)の付与を催すは、本blog。>
タグ:思想 読み物
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