SSブログ
人気ブログランキングへ 拍手する

第9講 [読み物]

 あるこう高名な経済学者(私とは異なるご意見を多々おっしゃっている方ですが)が、ある雑誌で、「問題は格差ではなく貧困だ、格差解消ではなく貧困解消が大事なのだ」と書いていました。まったくおっしゃる通りだと思います。「相対的な格差はないけれども皆が貧乏だ」という、キューバやブータンのような状態になれというのは困難ですよ(残念ながらキューバでもブータンでもむしろこれから経済活性化に伴って格差が拡大してしまうのです)。そうではなくて、格差はあるかもしれないが、仮に底辺層であっても少なくとも普通に人間らしい生活が送れ、普通に子育てもできる(さらにこれは私の年来の持論ですが、子供世代に対しては親の収入にまったく無関係に機会均等が保証されている、逆に言えば親が金持ちでも子供はそれだけでは有利にはならない)ということが重要なのです。格差是正ではなくて、一定の絶対水準以下に落ち込んだ社会的弱者の、人間としての最低限ラインまでの救済こそが必要です。当然そこまで落ち込んでいない人との格差は残りますが、少なくとも「貧富の差に関係なく受けることのできる教育と平均寿命は違わない」というようなところが目指すべき水準になるのではないかと思っています。

『デフレの正体』p.220~221より
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。