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ロールズ『正義論』――公正としての正義 [思想]

1.『正義論』の目的
ベンサムの功利主義的な正義論を批判しながら、「カントルソーにおける社会契約論の頂点」に立とうとする
原初状態という条件の下で、(中略)人々がどの原理を採用して、契約を締結するか

2.社会契約の前提
この社会契約を締結する人々はどのような人々とみなされているか どのような方法でこの社会契約を締結するか
合理的 正義感
合理的に判断を下す人々とみなされている
経済的な選択
自己の利益を最大にするという合理的な理由から選択すると想定されている。これは「財」の経済的な選択なのである。ここで問われているのが、「権利、自由、機会、所得及び富」などの「社会的な基本財」 分配 である(中略)これは「合理的な人間がほかに何を欲していようとも、必ず欲するだろうと想定されるもの」である。
マキシミン原理 マキシミンとは経済学の用語でミニマムを最大(マキシマム)にすることを意味する。ミニマムとは、選択した結果として生まれうる最悪の状態である。その最悪の状態が、他の選択と比較して、最も善いものになるようにするのである。 よく知られている囚人のジレンマも、マキシミン規則の適用の一つの事例である。互いにコミュニケーションできない囚人たちは、最悪の事態のうちで自分にもっとも好ましいものを選択するのである。

3.原初的な状態と正義の状況
当事者が道徳的な人格として、外的な要因によって、あるいは相互の結託によって左右されることがない孤立した状態で、みずからにとって最善のものを、合理的な判断によって選択することができる仮想的な状態なのである
戦争状態
ヒュームの想定する市民社会に近い

4.無知のヴェール
無知のヴェール
無知のヴェールとは、選択するにあたって当事者は目の前にヴェールが掛けられていて、ある事柄をあらかじめ知ることができないということである
知ることができないというのは、来るべき社会において自分がどのような「社会的な地位、階級もしくは社会的な身分」を占めるようになるかを知ることはできないということである
しかし社会の具体的なありかたについて無知であるとしても、選択を下すためには、一般的な原理や状況については「知っている」必要がある。

5.ロールズの原理
最大限の平等な自由という原理と公正な機会均等の原理および格差原理
格差原理とは(中略)、社会のうちで最も不利な状態にある人物にとっても好ましい効果を発揮するときだけに格差が認められる
公正な機会均等の諸条件の下で、全員に開かれている職務と地位に付帯する

6.ロールズの正義
自由で平等な市民たちが世代を超えて協働する公正なシステムとしての社会」を実現する「公正としての正義
『政治的リベラリズム』
アメリカ合衆国のアファームティブ・アクション政策の根拠づけ

同前書 中山元『正義論の名著』ちくま新書2011
  (下線)及び斜め文字、「 」(スペース)を挿入し、便宜上各セクション冒頭に通し番号及び.(ドット)を本blogで付す。>
マキシミン原理追記
籤(くじ)で勝てば特定の金額がもらえ、負けると特定の金額を失うとしよう。各人が六万円ずつ拠出して、原資が一八万円の籤に三人が参加する。第一の籤では、勝者は十二万円もらえるが、二番目の人は八万円しかもらえず、三番目の人は敗者としてさらに二万円を支払う必要があるとしよう。第二の籤では勝者は八万円しかもらえないが、二番目の人も六万円もらえるし、三番目の人も敗者にならず、四万円もらえるとしよう。
 この三人は、このどちらかの籤を選んで参加するとしよう。その場合にロールズは、自己の利益を最大にすることを目指す合理的な人物は、必ず第二の籤を選ぶと考える。最悪の場合でも、損失は二万円にとどまるからである。第一の籤の敗者は八万円の損失になることを考えると、第二の籤の最悪の結果は、相対的に最善である。
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